当院は目黒区民検診実施医療機関です。目黒区では40歳から65歳までの方を対象に、5年ごとに眼科検診が受けられます。加齢や生活習慣にともなって起こる様々な眼疾患を早期に発見し、早期に治療を行うことが目的の検診です。対象となる年齢の方は、この機会に目の健康チェックをしましょう。 目黒区民以外の方も、お気軽にご相談ください。
目の病気の中には、ほとんど自覚症状のないままゆっくりと進行し、気づいたときにはかなり見えにくくなっているケースが多くあります。いったん失われた視野や視力を回復させることは難しく、病気を早くに発見して、治療を始めることがとても大切になります。日本人の失明原因で多い緑内障や加齢黄斑変性症、糖尿病網膜症は、決して珍しい病気ではありませんが、根治することはできません。ただし、適切な治療を続けることで、病気の進行を抑えることは可能です。生涯の「見える」を維持するために、病気の発症リスクが上昇し始める40歳を超えたら、定期的な眼科検診を受けられることをお勧めします。
目はカメラと似た構造をしています。取り込んだ光が、網膜上できれいにピントを結ぶ状態を「正視」と言い、それ以外の見え方を「遠視」、「近視」、「乱視」と言います。 屈折検査では、これらの状態について調べます。
裸眼視力とレンズを装用しての矯正視力を測定します。また、眼鏡やコンタクトレンズが合っているかについても確認します。適切な度数のレンズを使用することは、見え方だけでなく、眼精疲労などの予防にもつながります。
目の中の圧力である「眼圧」を測定します。緑内障などの眼疾患の発見や、治療後の評価に重要な検査です。
まぶたや結膜、角膜、瞳孔、水晶体の状態など、主に目の前の方を観察します。ドライアイや白内障について調べることができます。
瞳孔をひらく目薬を使い、目の奥にある網膜や視神経など、眼底の状態を詳しく調べます。疾患が疑われた際は、網膜の構造を詳しく見る光干渉断層撮影検査(OCT)を追加することがあります。
生まれたばかりの赤ちゃんは、明るさを感じる程度の視力しかありません。生後、両方の目を使って「きちんと見る」経験を重ねることで、少しずつ見る能力(視機能)を育ていきます。視機能は1歳頃をピークに急速に発達し、3~5歳で視力は1.0程度になり、大まかな立体視を獲得できるようになります。そして、8歳頃には大人とほぼ同等の視機能を備え、目の発達は完成します。
見る能力(視機能)が発達する期間、特に5歳くらいまでに、網膜にしっかりと焦点を合わせて、両方の目で「見る」訓練をすることが重要です。この時期を逃すと、将来的に眼鏡などで矯正しても視力がでない弱視や、立体的に物を見ることができない目になってしまいます。子どもの弱視や斜視は、できるだけ早い時期に適切な治療をスタートすることで、治せるチャンスが大きくなります。そのため、3歳児検診で、目の異常をいち早く見つけてあげることは、将来の「見える」を守るために、とても大切なことです。
学校保健安全法により、毎年4月、5月になると学校では検診が行われ、学校生活に支障がないかを調べます。 視力は1.0、0.7、0.3の3段階で判定し、検査結果はA~Dの4段階で評価されます(見え方のABCD)。このうち、視力がB~Dだと検診結果の用紙が手渡され、眼科の受診が必要となります。
出典:日本眼科学会 「眼科学校保健資料集」
当院では近視、遠視、乱視の度数を調べ、視力を測ります。視力が不安定な場合は、ピントを調整する筋の緊張を緩める点眼薬(サイプレジン点眼)を使って、さらに詳しく検査を行うこともあります。 低学年では、うまくピント調整ができずに、一時的に近視をつくりだしてしまう「仮性近視」が多くみられます。仮性近視の場合は点眼薬や生活態度の見直しで改善しますが、高学年になるにつれ、近視が増え、なかにはかなり進んだ近視の子どももみられます。近視の場合は、眼鏡の作成や、眼鏡が合わなくなった時には作り変えが必要となります。 近年は近視の進行を予防するために低濃度アトロピン点眼や、オルソケラトロジーという選択肢もあります。スタッフ・医師にお尋ねください。
文責:成尾 麻子 院長 【日本眼科学会認定 眼科専門医・視覚障害者用補装具適合判定医師・難病指定医】